無修正の本がぐりとぐらの代わりに置いてあったらワイセツなのかどうか?
山口弁護士より続きです。
で、あともうひとつ面白かったのが、その議論してる際に検察官がこういう風に言ったんですよ。
『ワイセツ性の判断のためには陳列されている状況が重要だから必要なんですよ。』
っていう風に言ってたんですね。
で、これはさり気なく検察官は言っていたんですけども、これ中々新しい議論で、今まで出て来てなかった新しい議論なんです。
つまり今までのスタンスでは、どこに飾ってあろうが、ワイセツ物はワイセツ物、客観的に見てワイセツ物はどういう状況化においてもこれはワイセツなんだって言ってきたんですけども、今度は検察官の方が、ワイセツ性のためにはどういう状況において、陳列されて飾られているかっていうのが重要なんですよっていう言い方をしてくるわけなんですね。
この議論っていうのは検察官の方、僕は中々、非常に珍しい議論じゃないかという風に捉えています。
というのが、この理屈を当てはめて、理論的には例えばですよ、あのろくでなし子氏が自分の作品はラブピースクラブに置いてたからワイセツだって検察これ言ってるとも読めるわけですよね。
じゃあこれが、美術館に置いてあったらどうなったんだと、だったらどうなのっていう事で、なんか非常に奇妙と言えば奇妙な結論になる。
ワイセツな物があるっていうんであればどこに置いてもワイセツしなければいけないけども、えっとー、ろくでなし子氏の作品がね、ラブピースクラブ、アダルトショップに降ろしてたからワイセツなんだって議論になってくると、一体何をどこに置けばいいのっていう話になってくるわけなんですよね。
じゃあ、アダルト雑誌を児童書のコーナーに突っ込んどいたらどうなるの、じゃ無修正の本がぐりとぐらの代わりに置いてあったらワイセツなのかどうかとかですね、そういう事、どうなるんでしょう?
そうなると東京都の青少年課とか困ると思うんですよね、区分陳列しろ、区分陳列しろとかいう風に言ってる、真逆じゃないか、勿論青少年健全育成条例とワイセツっていうのは全く別物なんですけども、中々面白い事、検察官言ってくれたなっていう事で、それは、そうなってくるとじゃあ、置いている展示している状況はどうだったって事だったら逆に、彼女の方がねぇ、普通にですよ、アートとして一般的に活動してるとかその辺の文脈から考慮しないとおかしいんじゃないのっていう事で弁護人の方としてもまぁ色々議論出来るんじゃないかなっという風に思います。
で、えっと、そういう内容のやり取りですね、法廷でやってて、その都度、検採、一応、だから採用についてどうするかっていう事を検討するために、まぁ裁判官合議っていう事をしなきゃいけないって一時退廷して裏で3人で議論してっていう事なんですね。
で、一回目で裁判官達3人が合議するって言った後に、本人が喋る前に僕等の方が意見言ったんですよ。
そこで結論言われてしまうと、決まってしまうので、その前に一点考慮しといてくれっていう事を私の方が言ったのは、結局検察官の方としてラブピースクラブでは大人のオモチャを売ってる、だからそういう物と一緒に展示されてるからこれはいやらしい物なんだ、ワイセツなんだっていう事を多分言いたいわけなんですね、検察官の方としては。
でもまぁ、実際にアダルトグッズの中に置かれてたっていう事は写真は既に出てるわけですよ。
写真が出てるにもかかわらず、なんでわざわざね、カタログを出さなきゃいけないの?っていう事は裁判官の方の問題意識としてですね、燻っといた。
結果的には、今回請求された2人の証人ですね、内偵した女性の警察官とそれから、もうひとりは科捜研の、多分研究者の、多分技官の人だと思うんですけど、こちらについては、いらないという形になりました。
その上で前回の告知として5月26日に公判あるっていう話になったんですけども、こちらの方はキャンセルになりました。
公開の法廷ではやりません。
弁護人と検察官と裁判官、三者の進行協議って形でやるので、いわゆる公判って形ではないので、皆様は傍聴出来ない形になりましたので、5月26日の方はキャンセルです。
それから6月16日は証人尋問を予定していますが、一体誰をやるのかという事についてはまだ流動的で未定です。
という事になります。
というのが大体今日のやり取りでした。
結構まぁ、色々アクティブなやり取りがあって、わかりにくかったとこだったと思うんですも、概要は私の方から説明したような感じです。
この後に恒例の、ろくでなし子氏の単行本のPRタイムの後に質疑応答に続きます。