ホットトピックと東京ウィメンズプラザ
ろくでなし子氏についてのエントリー、長くなってるけど、もう少し続きます。
柴…継承の難しさっていうのが凄くあったり、先日Twitterで怒ってしまって申し訳ないなと思っていたんですけども、ろくでなし子氏、ウィメンズプラザに断られてしまったじゃないですか。
ろ…はいはい、はい。
柴…アレって確かにウィメンズプラザはろくでなし子氏みたいな女性の性だったりとか男女格差についての活動をしている中で二度も逮捕、拘留され、起訴されてしまった方を女性センターは保護するべきだと絶対に思います。
ろ…私もそう思ったんですけどね。
柴…だけれども、女性センター、ウィメンズプラザっていうのは、東京都の都知事が石原慎太郎氏の十数年間で、物凄く予算が削られてしまったり、要はその、資料を買うお金すら無くなるような状況にあって、その潰されそうに潰されそうになって、細々と存続して来た組織でもあったので、ろくでなし子氏の問題を扱いたくても、ホットトピックじゃないですか。
ろ…うん。
柴…Twitter、グーグルも急上昇とか、そのホットトピックに飛び付ける程、防御力もなければ、体力もない。
ひとつ考えなければいけないのは、絶対にウィメンズプラザや女性センターは女性を守るべきです。
だって、女性を守るために作られた組織ですからね。
ろ…はい。
柴…だけれども、女性センターが女性を守れなくなるような構造にしてしまった誰かがいるかもしれない。
っていう事を考えるのが私もTwitterの時には思考が及ばず。
ろ…なるほど、流石ですね、単に怒りがしかなかったですね。
今度こっちか〜とか思ったんですけど。
ちょっとね、逮捕された人を出したくないっていうのだったら、まだわかるんですけど、その言い訳として、DV被害を受けた人がろくでなし子を出す事によって、傷付くんじゃないなっていう言い方酷いなと思って、それは本当に撤回して欲しいですけれど。
そういう背景があるんだったら。
柴…だから女性が内ゲバして、自分の手を汚さずに楽しめる人達がいる事を多分忘れちゃいけなかった。
ろ…そうですね。
柴…私も反省しています。
ろ…確かにその通りで、かなまら祭は何でオッケーで、ろくでなし子はダメなんだみたいなのも凄く言われるんですけども、そういう事ばっかり言っていると、かなまら祭も今度規制されちゃうんですよ。
柴…そうですね。
ろ…だから、言い方は気を付けないと共倒れになったら表現の自由じゃなくなってしまうので、なので私はTwitterのバカな人達に何で表現規制に反対だったら、規制をしている人達を叩かないのかみたいな事を言われるんですけれど、そういう自分と反対意見の人を叩いたり、批判する事が私の選択だとは全然思ってないし、私は今、裁判とか始まって、自分の作品がワイセツかどうかのみで戦いたいと思っているので。
柴…そうですね。
後は、ろくでなし子氏みたいな表現が規制されてしまう事の恐れっていうのを私は凄く感じていて、要はひとつには表現者がどんどん自主規制しなきゃいけなくなる可能性がありますよね。
こう、あーなんか、パンツはグレーなのかとか、自分から自分から表現の欲望を抑えて押さえ込んで行くっていう状況が、まず表現にとって物凄くマイナスだと思いますし、後もうひとつには、ひとつの事が規制されてしまったら、次に何が規制されるかわからないっていうそういう恐ろしさがあって、今はそのワイセツとして、ろくでなし子氏の女性器をモチーフにした作品が起訴されてしまったっていう事があるけれど、なんか次にね規制されるのが、例えばヒマワリの絵を描いたらいけないとか。
ろ…まんこに似てるから?
柴…(笑)いや、ゴッホ氏の話したから。
ろ…ゴッホ氏ね、ビックリした。
柴…でも本当に何を規制されるかわからないっていうのに、私はまんこを作品のモチーフにしてないから関係ないじゃなくて、何が規制されるかわからない。
ろ…そこなんですよね。
なんかまぁ、私の作品は笑っちゃうような物ばっかりで、陳腐なのは確かにその通りなんですけど、だから擁護しなくていいとかじゃなくて、こんな事で逮捕されてしまう事がとても怖い。
という事を言っていかなければならないかなと思うんですよね。
後、メディアも昨日私が逮捕、記者会見の報道をして頂いたところも意外とあって逆にビックリしたんですけども、いつも会見の時はまんこちゃんのソフビを置いているんですが、ここにボカシが入っていたんですよ。
これ、あの、アウト?
人の性欲を淫らに欲情させたりする物じゃとても考えられないんですけども、恐らく、これを写した事によって、苦情が入ったりする事を避けたいから、予めボカシを入れてるんだと思うんですけど、苦情にクレームに怯えてるのってメディアが、凄くダサいというか、あの、言論をやっている人達ならば、それは責任を持ってこういう理由だから放送しましたって言えばいいのに、逃げちゃうのって凄く残念だなぁって思いますね。
柴…そうですね、まさに自主規制ですよね。
メディアみたいな個人よりも大きな力を持っているところが規制すると、個人は更に苦しくなりますから。
ろ…そうですね。
だから、週刊誌とかもね、必要以上に伏字にしたり、バカじゃないのと思うくらい伏字にしたりボカシを入れたりして来るんですけどね。
柴…やっぱり、なんか、ちょっと話が変わるんですけども、日本の中で美術が歴史化されていないっていう事が、ろくでなし子氏に対する評価の低さ、美術界からの評価の低さにも凄く繋がっていると思っていて。
ろ…ひとつ、さっきの話でもおもったんですけど、美術って小学校とかから習うじゃないですか。
柴…はい。
ろ…私は大学で美学を習ったんですけども、ふと、凄く根本的な話なんですけども、男性しかいないんですよ、アーティスト。
過去の作家に女性がいないじゃん。
でも誰もそこはあまり指摘してないなと思って。
柴…あの、実はそれを歴史化してるリンダ・ノックリン氏っていう1970年代に美術手帖に論文を載せて、それがまだ本になっていないんですけども、リンダ・ノックリン氏の何故女性芸術家は大成しないのかっていう論文がありまして、それは歴史的に女性で活躍した作家がいたにも関わらず、要は代が変わる時に名前が消されてしまったり、活躍出来た女性作家っていうのも、父親が作家だった、父親が画廊の工房を持っていたから作家活動が出来たみたいな、女性が絵を描くアクセスが少なかった歴史と少ない中でも活躍した作家がいたにも関わらず紹介しない。
ろ…アルテミジア・ジェンティレスキ氏っていう人がいたじゃないですか。
柴…はい。
ろ…その人、自分がレイプされた事が裁判にしてたりとか、画家なんだけど、そんな凄い人がいた事を自分が調べないといる事を知らなかったっていうのがビックリなんですよ。
柴…そうですよね。
歴史化、やっぱりアカデミズムの中にきちんと回収されていないので、ジェンダーアート、クィアアート自体が日本では言葉としても歴史としても認知されていなかったり、海外の作家でクィアを扱っている、例えばフェリックス・ゴンザレス=トレス氏のキャンディ作品とかって、あれはゲイのコミュニティーの中のエイズの危機に関して、キャンディ、ハードキャンディっていうのが、ゲイの中でフェラチオの隠語だったり、持って帰る、病を持って帰る、拡散するような欲望って私は欲望として肯定されていいと思うんですけど、そういう文脈がある作品にも関わらず、日本でクィアやジェンダーアートが紹介される時に、そこが抜かれる事があったり、日本の女性作家でジェンダー、フェミニズム、クィアを扱っていても、要は展示する側、出資する側と展示する側の判断でフェミニズムっていう言葉を消して下さいみたいな、そういう一種の自己規制の背景があったりだとか。
区切ります。
知らない作家がガンガン出てググりつつも書いています。
興味のある方は各自調べてみて下さい。
続きます。