ろくでなし子作品集プロデュースバイ警視庁
さて、前回のエントリーの続きです。
ろ…就職活動でも、フェミニストみたいな事を書くとダメだから消すとか聞いた事があるんですけど。
柴…はい、やっぱりひとつはアカデミズムの中で触れる機会がないから、しかも田嶋陽子氏みたいな、目立つ物しか見てないからフェミニズムって、えっ、ダサいみたいな、そういうフェミの食わず嫌いみたいな現象が起きたり、さっきも重複するんですけども、アカデミズムの中で承認が得られていない学問なので、どんどん、立ち消えてしまって行く。
それを調べようとしても中古でその、再販してなかったり、凄く高かったり、中古で1万円とかねぇ、ちょっと興味ある時に、高いですよね。
ろ…高い、高い。
そうそうそう。
柴…その500円とかで新書とかだったらあー、なんかちょっと読んでみようかなってなるけれど。
ろ…一万円かぁ。
柴…だから研究するってならないと読まれないっていう状況が。
ろ…そう、高学歴の人達のための物になってしまう。
柴…そうですよね、有名なジュディー・シカゴ氏の花もつ女ですら、今は再販されていないので中古でしか入手出来ないんですよね。
ろ…そうなんだねぇ、あれは一応持っているんですけど、そっかぁ。
確かに中古で買ったわ、アマゾンの。
柴…最後にろくでなし子氏の裁判への想いとかって?
ろ…何度も言うけどノリで生きて来た、生きて、あの、こんなのアートじゃないってバカにされたらその度に燃えてもっとバカバカしい作品を作ってやると思って、まんこがラジコンと合体させてリモコンで走るまんことか、まんこが布団をめくってそっと暗がりで見るもんなんだって言ったオジさんがいてムカついたんで、寧ろまんこがピカピカ光る照明器具のシャンデビラ作ったりとか、反抗を笑いで表現して来たら、逮捕されてしまったんですけど、逮捕自体もめっちゃ漫画のネタが出来たと思って、とても怖い想いをしたんですが、怖い想い、大変な想いは漫画家にとっては美味しいんですね。
で、しかも今までは大きな湖に一人石を投げてポチャーンってぐらいだった物が、今は国と戦って、法廷でまんこはワイセツですか?みたいなみんなで、今日もこういう風に仕事帰りに来て下さった一般の方とかも、考えてくれる凄い良い機会が出来たし、あと昨日の法廷でも、またなんか、検察が私の作品を傍聴人に見せないのに、お手製の深い木の箱みたいなのを作って来てて、よりこの作品はこんなに人に見せられないぐらい卑猥なんですみたいな、捜査上の情報操作とかもして、イヤらしいなぁと思いながらも、またこれでネタが出来たとか思って。
これ開いたらこの辺にコマにしようかなとか色々考えたりして。
柴…赤瀬川原平氏と対局ですよね、赤瀬川原平氏は彼は千円札裁判、千円札の偽札事件として扱われているけれども、裏が真っ白で使えない、完全にだって、偽札ではなくて、千円札の模型だって赤瀬川氏の作品の事を自分で評しているんですけども、あの裁判の時は物凄く法廷が美術館みたいになってしまって、後々記録写真を見ると、赤瀬川原平氏が超美味しいっていう。
なんか、それとはその逆で。
ろ…名前も売れたんでしょうね、きっとそれで。
柴…そうですね。
ろ…なんか、だから、刑事訴訟記録でしたっけ、自分が供述した取り調べの内容とか、証人として来た人が供述した調書みたいなのが、分厚い二冊ぐらい、こんな分厚いのを貰って、それ裁判が始まるから読んでかないといけないんですけど、警察が私のまんこの作品を、これが本官が、女性器の詳細、露骨〜と見受けられたので、これはワイセツと認定した、以上。
みたいなそういうザックリした件文書とかもあって、あとデータがどうやったら、開けるかみたいなのも写真撮ってくれたりとか、てか撮ってくれたりとかいう言い方ですけど、警察が率先して私の作品をあの手この手で、本の様にしてくれてるんですよ。
図録の様に、してくれてるんですよ。
で、私は3Dプリンタ持ってないし、データもパソコンに入れてないから、ソフトも入れてないから、へぇ、こういう風に見えるんだみたいな感じで、なので、ひとつの壮大なアートなんですよ、作品なんですよ。
柴…作品集。
ろ…作品集なんですよ。
柴…作品集プロデュースバイ警視庁。
ろ…そう、ドグラマグラっていう本あったじゃないですか。
柴…はい。
ろ…あんな感じなんですよ、もう。
なんで、これがひとつのアートだなと思って、よく海外の方にも、これからもどんどん製作続けますか?とか次何やりますか?とか言われるんですけど、今火中。
アートの製作火中だから、なんていうのかな、新しい事って言っても、今、なう、アート、現代アートってみたいな感じなんですよ。
柴…そう、まさにね、要は美術作家って別に法律家や弁護士みたいな免許がない領域ですし、例えばね、年収700万美術で稼げないと美術作家ではないみたいな規定もないから。
ろ…厳しい。
柴…自分で、今日から美術作家ですって言えば美術作家なんですよ。
ろ…うん。
柴…だから、凄く緩くなれる職業だけれども、今回、法的にね、逮捕された事で、国家認定の美術作家になれるんじゃないか、赤瀬川原平氏に続いて。
赤瀬川原平氏って、最初は自称前衛家でしたから。
ろ…自称って面白いですね、どうしたらいいんだ。
自称前衛家って言おうかな、今度。
柴…前衛は今の時代じゃないですから、意味がわかんないですよ(笑)
ろ…逆に警察の方が面白いですよね、新しい造語をどんどん作って来る感じがして。
自称〜とか。
柴…その発想はなかった。
ここで、対談終了。
この一連の動きを含めて壮大なアート作品が作られようとしてるってひしひしと感じる。
ある意味で凄く美味しい。
この作品の完成がどうなるのか、楽しみです。
柴田英里