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弁護士と検察官の実務処理

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第二回公判後説明会質疑応答



Q…

今日は電磁記録、要するに3Dの事についてはあんまり議論はなかったんですか?

3Dの頒布についての。



A…

えっと、3Dの頒布自体については、その、複数の人等に送ってそれを受け取ったっていう事自体については争いがないんですよね。

いや、別に私こんなデータ送ってませんって争い方はしてないんで。

そこではなくて、結局、データの中身がワイセツかどうかというとこと、もうひとつはそのデータの中身を立証する方法としてですよ、方法として、警察が持っているとてつもなく高価な3Dプリンタで出力した結果が妥当なのかどうかと。

つまり受け取った人は誰も3Dプリンタで出力していないし、あと普通の人が打ち出す市販されてるですね、10〜15万で買えるレベルのプリンタで打ち出した時に、どういう物になるのかっていう風にしないと、実際にどういう物が頒布されたっていう事の判断が出来ないんじゃないかと。

つまり検察官が立証してる最高級の3Dプリンタとソフトで打ち出した物は、ソフトってその電磁記録の中身を検証する方法として不適当ではないのかという点について審議が行われたと、そういう事です。

よろしいですか?



Q…

はい、あの、前回はそのリンクを貼った事がどうのこうの、リンクだから頒布ではないとか、不特定多数に沢山送ってないとかが論点だったような気がするんですが、今回はその要するに再現性の問題について特に争って、あぁ〜。



A…

そこはですね、最終的に争うんですけども、今検察官のターンなんですよね、検察官が立証の番なので、検察官側の立証に対して弁護側が話をしている、次に弁護側の時にその辺りについて議論を改めて大々的に展開する流れになると思います。



Q…

3Dプリンタで出力した、するのはまぁ、一般人は出来ないという事ですけども、出力した物自体はろくでなし子氏はワイセツだと思ってますか?



ろA…

全くワイセツだと思っていません。

何故なら刷り出した物が無色で結構ザギザキ、あの、なんていうんですかね、木目調みたいな感じになるので、あと、なんて言うのかな、地形図の立体的な地形図みたいな感じにしかならないので、生々しさみたいな物は全く再現出来ていないなと思いますし、まぁどちらかと言えば医学的な標本に近い物だなと思うので、それを見て興奮する人がいる方がちょっと逆に変態かなって思います。



Q…

じゃあ、あの、もしそれが、万が一、それがワイセツかどうかとしてそれが争われたとしても、まぁ大丈夫だと?



ろA…

大丈夫というか一切、私はワイセツだとは思っておりません。



A…

ワイセツかどうかを決めるのは裁判官の3人が決めるんですよね、ろくでなし子氏自身が決める事でもないわけです。

ご本人の認識としてはワイセツじゃないという事なんです。

で、ただワイセツかどうかっていうのは、見方とかによって現行実務上結構大きく影響受けるんですよ。

例えばアダルトビデオにモザイク入れるじゃないですか。

なんでモザイク入れるかっていうと、そうすると性器の形状とかそのね、色合いとかそういう物が曖昧になって結局性的な刺激が緩和されるっていう風になるわけですよね。

そうなるとまぁ、同じスキャンした物であっても、細かく出来れば細かく、非常に精緻な物で打ち出せば打ち出せるほど、ワイセツになりやすいし、そうでなければそうでないほど、ワイセツ性が弱くなっていく、そういう関係に立つわけなんですよ。

そうなると、普通の人がどの程度で出力するかっていう事も結構重要なんですね。

例えば同じ絵であったとしても上質紙にね、物凄く高度なプリンタでやるのか、それともわら半紙、ザラ紙みたいな物に、普通にそんなに高度じゃない物で出力した物からと、やっぱり見える印象って違って来るので、同じ絵でも出力の仕方によってワイセツだったり、ワイセツじゃなかったりするっていうのが、この刑法175条の実務の世界、実情なんです。

よろしいですかね。



Q…

改めまして、ピースクラブのカタログがブツとして証拠請求される?



A…

そうですね、今のところ、向こうから今回証拠、書面として、つまりどういう事か、コピーした物を書面として出して来たんですよ。

それは不同意って形にしたので、カタログをブツとして出してきますって警察の方は言っている、そういう事です。



Q…

なんて言うんでしょう、その立証のために警察官が、内偵に来た警察官が来る事について。



A…

そうすると何のために、つまり結局、証拠、ラブピースクラブに置いてカタログがあるんだけれども、別にカタログが置いてあってどういう物かっていう事を立証するために警察官、つまり全く、警察官を呼んで来て聞く事は、このカタログが間違いなくラブピースクラブで配られた物に間違いないっていう事を警察官は言うだけなんですよね。

私が内偵した時にカタログがあって一部私が持って帰って来ました、多分そういう事を言うわけです。

でも、その事を言ったからといって、そのカタログに関連性があるわけじゃないですよねっていう議論なんですよ。

だから関連性の議論って言うとね、例えば、ちょっとワイセツの事件だと分かり辛いから殺人事件の話をしましょう。

いきなり警察官が包丁をポンっと出して来たとしても、これわからないわけです、何の証拠かわからないわけですよね。

そうなると例えばお巡りさんを呼んで来て、いやこれはですね、被害者の遺体の側に血塗れで置いてあったんですよっていう風に言えば、あっ、そっか、これじゃあ殺害に使われた凶器という風に検察官が考えている証拠なんだなってわかるわけ。

そうするとその事によって、この包丁と事件がどういう風に関連があるかが紐付け出来るわけですね、それが関連性というわけです。

今回の件は、ラブピースクラブにおいて、例えばそこに載っかってるね、カタログとして載っかってる物がワイセツとして摘発されたのら多分それは関連性がある。

でもカタログにはろくでなし子氏の作品載ってないんですよね。

あるのはラブピースクラブにおいて、他にどういうね、バイブレーターとかそういう物が売られていたかどうかが載っているだけなんですよ。

そうすると事件と関係性ないですよね、だから関連性ありませんと言っているし、お巡りさん呼んで来たところで、お巡りさんの方としてはこれはラブピースクラブに私が受け取って来たカタログなんですと言ったところでですね、別に関連性があるわけでもないわけですよね。



Q…

お巡りさんが来てなんか証言したところで何かカタログその物が証拠になる以上に、不利になるような事があり得るんですか?



A…

ないですね、後はだから陳列してあった様子とか、場合によっては自分のね、その展示してあった物を見た時に印象として、多分、私いやらしい物だと思いましたみたいな事は言うんじゃないですかね。



Q…

2点目で、検察の方でワイセツ物がどういう状況で、ごめんなさい、ワイセツ性の判断でどういう状況で陳列されてるのかが大事かっていう、そういうような文言で言ったんですか?



A…

そうですね、検察官が言ったのは、ワイセツ性判断のためには陳列状況が重要ですって言い方をしたんですよ。



Q…

それっていうのは、並べた側がどういう文脈でこれを理解していたかもありますし、見た人がどういう文脈でこの作品を捉えた可能性がっていう事ですけど。



A…

そうですね、今言われた通りの理解で大体その通りじゃないかと思います。

それはどういう風な目でそれを見るのかと。

いう事によってワイセツ性っていうのは左右されるんだって、まぁ確かに芸術かワイセツかって議論されるのは芸術性が強ければ、要するにいやらしい目で見るんじゃなくて、芸術を鑑賞で見るような目で見るから、性欲は刺激されないんだっていうのが、ワイセツ、芸術性によって、ワイセツ性が緩和されるというのが、そういう理論が正しいかどうかは知りませんよ。

だだ実務的には刑事法の手続きの実務上はそう動いてるんで、それを発展させたような書き方、どういう状況に置かれてたかによっても違うんですよっていう事になってくると、さっき、無修正の本をぐりとぐらの代わりに置いたらどうなのみたいな話、色んな事が思い付く、それだけの話。



っていうところで第二回公判後の説明会終了。

今回の質問は全て女性からでした。

中には、ろくでなし子氏が作った物をワイセツだと捉えてるんじゃないかっていう質問もあって、その解釈で何故ここに来たってイミフな人もいましたが。

モザイクがかけられる理由も実際の理由と違う物があげられてたり、そもそもモザイク文化の世界だからこの問題はここまで発展したとも思うし。

海外でこの事件が理解出来ない理由のひとつにそれがあると思うんですよね。

芸術性が高ければワイセツじゃないという理論が正しいかどうかは知りませんよっていうストレートな発言出たし、かといってその後に言った言葉が凄くしっくり来た。

実務上の処理。

弁護士と検察官の実務処理がどちらが上なのかの戦いになるんじゃないかなと感じました。